
あらゆる作品で強烈な存在感を放ち、観る者を魅了してきた俳優・趣里。今回の撮影でも、そんな表現者としての才を存分に披露してくれた。ノスタルジックな空間の中、ボーイッシュに、ガーリーにと多様なスタイリングを着こなすその姿から、これまで様々な役柄を演じてきた矜持がうかがえる。そんな彼女に今回、ナノ・ユニバースがコンセプトに掲げる“色気”について、さらには自身のファッション観やここ最近の心境の変化についても話を聞いた。
Scene. 01
その人の信念が垣間見えた時に
色気を感じます色褪せた壁面や昔ながらのフォントが使われた看板、客席とステージを分かつ厚手のカーテン…。趣里さんが撮影場所として提案してくれたのは、懐かしさをそこかしこに潜ませた映画館。
「“色気”というテーマから、自分なりに想像して思い浮かんだのが古い映画館。自分もよく単館に行ったりするんですけど、映画館に行くのは日常なのに、どこか非日常みたいな場所ですよね。独特というか、特別な空気感がどこか通じる部分があるなと」
色気とひとえにいっても捉え方はさまざま。では、趣里さんが考える色気とは。


「内から滲み出るモノのような気がしています。人間力と言ってもいいかもしれません。これまでどういう経験をしてきたのかも影響してくると思いますし、きっとその先に信念みたいなものも見えてくる。そこに自分自身、惹かれるところはあると思います。そういう方々は、やはりどこか余裕のようなものもありますよね」
そんな自身のイメージと重なる存在として挙げてくれたのがふたりの大人たち。
「余裕という観点で言えば父。主役を演じている『相棒』は2クールという長丁場ですけど毎日軽やかで、煮詰まっている素振りも見せず格好いいままなんです。本当に尊敬します。最近だと、ドラマで共演させていただいたYOUさん。撮影の合間などにいろんな話をしてくださって、みんなそれを聞いてリラックスできました。スタッフさん全員に対しても優しいですし、そこに品性というか人間力を感じました」


Scene. 02
特殊な1年を経験して起こった
気持ちの変化色褪せた壁面や昔ながらのフォントが使われた看板、ではご自身はどうかと水を向けると、「昔も今も色気に対してはそこまで考えていませんね」と微笑む。
「感性は人それぞれですから、私は感じてもらえる人に感じてもらえれば、というタイプ(笑)。今の自分から滲み出ているのかは正直分かりませんが、積極的に発していこうと思っているわけでもありません。ただ、品性は大事だと思いますし、何をするにでも“人として”というベースを忘れてはいけないとは考えています」

とはいえここ最近、心境にちょっとした変化も生まれているという。それはNHK連続テレビ小説『ブギウギ』を経験したことも大きいとか。
「20代の時は余計なことを考え過ぎていたような気がします。ただ、もう必要以上に考え込むことは少なくなりました。それはやっぱり、朝ドラをやり切ったのも大きいかもしれません。普通のお芝居だけじゃなく歌や踊りもあって特殊な日々を一年間続けてきたので。体力的にも精神的にも、やるしかないという状況の中で実感したのは、もう少し肩の力を抜いてもいいのではないかということ。良い意味での鈍感力は、今後生きていくうえで必要だなと感じました」。



Scene. 03
今回の撮影を通して再認識した
オシャレの楽しさ出演した作品が彼女の成長を促してきたことは事実。撮影現場では、出会いや経験値といったギフトも得てきた。ただ、他にも意外な恩恵を得ていると話す。
「ドラマの衣装ってサイズ感とか、アイテムの組み合わせとか結構参考になるんです。このコーディネート、いいなと思いながら演じていることもありますし、それを普段着へ取り入れることもあります」

「今回の撮影でも目を引いたアイテムはたくさんありました」と話すその言葉は軽やかで、自然と笑みもこぼれる。
「普段はわりとボーイッシュで、ガーリーな服はあまり持っていないんです。だけど、今日着用させていただいたスカートとかすごく欲しい! と思いました(笑)。屋上での撮影で着させていただいたレースのトップスも女子力高めですよね。これなら場所を選ばずどこへでも行けそう。基本的には冒険ができないタイプですけど、今回の撮影をきっかけにいろいろ試してみたいと思いました。やっぱりファッションって楽しいですよね」

おしゃれへの思いも新たにした彼女。今後の目標について聞くと、熟考しながらも真摯に応えてくれた。
「自分でこうなりたいとか、絶対にこうしようと思うとダメなような気がして。なので、作品や役の一期一会を大切に、日々楽しめたらいいなと。強いていうなら、自分が理解できないぐらいの悪い役はまだ未経験なので演じてみたいです。あと、様々な洋服にもチャンレンジしたいです」


趣里
1990年9月21日生まれ。東京都出身。2011年の女優デビュー以降、数々の作品に出演。主演を務めた2018年封切りの映画『生きてるだけで、愛。』では第42回日本アカデミー賞新人俳優賞など多くの賞を受賞する。一昨年には、NHK連続テレビ小説『ブギウギ』でヒロインの花田鈴子役を演じきり高評価を獲得。さらには、『ブラックペアン シーズン2』『モンスター』など話題作に出演し、今年2月にはエランドール賞新人賞も受賞。
https://topcoat.co.jp/shuri